コンテナの耐用年数と減価償却

コンテナハウスを建てるうえで「耐久性が心配」「住み続けたいけど、劣化してしまうのだろうか」と不安や悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。コンテナハウスも一般住宅と同じように、メンテナンスを行うことで、長く快適に住み続けられます。

ここでは耐用年数やメンテナンス方法、さらには減価償却について紹介していきます。ぜひ参考にしてみてください。

そもそも耐用年数・減価償却とは?

まずは、そもそも耐用年数・減価償却とは何か?について確認しておきましょう。

耐用年数は、コンテナハウスを使用できる「期間」のことです。新設であれ中古であれ、コンテナハウスは使用すればするほど劣化していき、資産価値は低下していきます。いずれは価値がゼロになりますが、その使用できる限界までの期間が耐用年数です。

減価償却できる固定資産の耐用年数は、種類によって年数が異なるため、個別の確認が必要です。

次に減価償却とは、コンテナハウスの購入費用を耐用年数に従って経費として分割計上していく会計処理です。コンテナハウスを含めた建物など固定資産の多くは購入費用が高額になるため、経費を単年度(1年)で計上することができません。そのため、20年~30年など数年がかり計上していく方法が取られています。これが原価償却です。

減価償却期間は対象資産の耐用年数によって決まるため、この意味で、耐用年数と減価償却は密接にリンクしています。

コンテナハウスの耐用年数は?

耐用年数とは、固定資産が使用に耐える期間を法的に定めたもの。コンテナハウスは重量鉄骨造のため、法定耐用年数は34年となります。窓や排気口などの穴の開け方や場所、木材の使用状況によって変動します。

メンテナンス次第では耐用年数を伸ばすことができ、場合によっては100年以上暮らすことも可能に。サビ対策やシーリング補填での防水対策など、定期的にメンテナンスを行うことが大切です。

耐用年数には2種類ある

コンテナハウスの耐用年数には2種類あります。一つは、上述した、償却資産の減価償却期間を定めるための計算の基礎となる法定耐用年数。これは対象資産の種類に応じて国税庁(国税局)が定める、法的な意味での耐用年数です。

二つ目は、実際にコンテナハウスが使用に耐える一般的な意味での耐用年数です。減価償却が終了すると、法的な意味では耐用年数が過ぎて資産価値もゼロになりますが、一般的な意味でのリアルな耐用年数はまだ残っている場合があり、しばらく使用できる可能性があります。

このように、法律で定められた法定耐用年数と、実際の耐用年数には違いがあることを理解しましょう。

※参照元:(PDF) 法定耐用年数(国税庁)

中古コンテナハウスの耐用年数は?

新品ではなく中古コンテナハウスを購入する方もいらっしゃるでしょう。

中古コンテナハウスにも耐用年数はあります。むしろ新品以上に劣化が気になる中古においては、耐用年数は十分に考慮すべき重要な概念です。ただし、中古コンテナハウスでは法定耐用年数は使用しません。

中古コンテナハウスでは、法定耐用年数はすでに経過したものとみなし、現状を精査の上、今後使用可能な期間を計算して合理的な耐用年数を定めます。計算は「見積法」「簡便法」といった特殊な方法で行われており、新品の場合とは全く異なる算出法です。

法定耐用年数は新品で購入した場合に適用されるものであり、中古の場合は適用されません。中古コンテナハウスを購入する場合は、この違いを理解しておいてください。

耐用年数を長くするための対策

一般住宅と同じように、長く快適に住み続けるためにはメンテナンスが重要です。しっかりとメンテナンスさえすれば、見た目の美しさを保ったまま住み続けられます。ここでは、主なメンテナンス方法を紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

コンテナハウスのサビ対策

コンテナハウスは鉄で作られているため、サビ対策は必須。施工時に防サビ塗料を使った外壁塗装を行うことによって、サビの発生を抑えられます。ただ、いくら防サビ塗装を行ったとしても、徐々にサビが発生することも。定期的にチェックしていきましょう。

なお、DIYによるセルフメンテナンスも可能ですが、なるべく専門の業者に施工を依頼してください。狭い範囲のサビはセルフで対応できますが、広い範囲になるとクオリティの高い工事が難しくなります。下手に自分で施工して失敗すれば、傷みを拡大させてしまうことになりかねません。

メンテナンスが得意な専門の工事会社、できればコンテナハウスの施工実績を持つ業者に依頼することで、丁寧かつクオリティの高いサビ対策が実現し、サビ除去&再発防止が可能になるでしょう。

コンテナハウスの雨漏り対策

雨漏りは住宅を劣化させる大敵のため、対策やメンテナンスが必要です。仕入れたばかりのコンテナは屋根が真っ直ぐで雨が溜まりやすいため、雨が流れやすいように施工してもらうことが大切。またコンテナハウスの場合、屋根以外に、玄関のドアや窓から雨漏りする可能性も。そのため、雨水の侵入を予防するシーリング(コーキング)を行うことが重要です。

コンテナハウスの雨漏り対策も、基本的にDIY施工は避けたほうがいいでしょう。小規模な雨漏りの場合はセルフ施工で対応できますが、大雨や台風直撃で起こる大規模な雨漏りの場合は、損傷が大きいためDIYでは対処できません。

また、素人が屋根に上って補修を行うのはリスクが大きいです。職人でもそうですが、DIYで高所作業を行い落下事故に至った事例は少なくありません。クオリティと安全性の両面を考え、熟練職人のいる専門業者に補修工事を依頼しましょう。

コンテナハウスのシロアリ対策

鉄でできたコンテナハウスでは、シロアリなんて関係ないと思っていませんか?実は、被害にあう可能性が十分にあります。気密性の高いコンテナハウスは、内部の湿度が高くなることも多く、湿気の多い場所を好むシロアリが発生することも。特に柔らかい断熱材が狙われ、食べられてしまう危険性があります。対策としては、市販の薬剤を使用することも可能ですが、より強力な予防をするためには専門業者に依頼することをおすすめします。

一方、シロアリ対策もセルフ工事はおすすめしません。自力でやれないことはありませんが、クオリティの問題があります。シロアリ対策では「駆除」と「予防」の2つが必要ですが、それぞれ対処法が異なるうえ、使用する駆除剤・予防薬も様々な種類があって、それらを見極め適切な工事をするのはセルフでは難易度が高いです。

シロアリは完全退治しなければ意味がありませんので、確実に駆除と予防を実現するためにも、プロの業者に施工をお願いしましょう。

コンテナハウスも減価償却ができる

大前提として、固定資産の価値は、時間の経過とともに減少していきます。減価償却とは、固定資産価値の減少分を、損失として計上する経理処理のことです。減価償却の計算式に用いられるのは、定額法か定率法。定額法は、一定額を計上していく方法で、償却する額は基本的に毎年同額となります。定率法は、残存価値に対して一定の割合で処理する方法で、償却する額は経年とともに減少していきます。

コンテナハウスの減価償却は、建築物としての算出となり、償却する額はコンテナの用途によっても変わります。詳しくは税理士などに相談するとよいでしょう。

減価償却するメリット・デメリット

コンテナハウスを減価償却するメリットは、コンテナハウスの購入費用を「毎年」、経費として計上できることです。経費計上された償却費は当期利益を圧縮するため、法人税を抑えることができます。

例えば、当年の最終利益が2,000万円だったとしても、償却費が300万円なら損益は1,700万円となり、300万円分の法人税が抑えられます。このように減価償却は、個人・法人を問わず節税対策に効果的です。事業用のコンテナハウスを建てる場合の参考にできるでしょう。

一方、コンテナハウスを減価償却するデメリットは、特に見当たりません。会計処理が面倒と言えば、確かにその通りですが、節税できるメリットと比べれば大きな問題にはなりません。

しいてデメリットを挙げれば、法規制の変化への対応があります。税制改正は頻繁に行われていますし、耐用年数が見直される可能性もゼロではありません。システムに処理を任せている場合は、アップデートが大変になるかもしれません。

中古コンテナハウスの減価償却はどうなる?

中古コンテナハウスの減価償却は、新品の場合とは計算方法が異なります。

まず、法定耐用年数を全部経過している場合は「新品コンテナの耐用年数×20%」、耐用年数の一部が経過している場合は「(法定耐用年数-中古コンテナハウス購入までの経過年数)+(中古コンテナハウス購入までの経過年数×20%)」の計算式により、それぞれの状態に合う合理的な耐用年数を算出します。

後は算出された耐用年数に従い減価償却を行っていきますが、中古の場合は耐用年数が短く、償却費も比較的小さいため、早い年数で減価償却の処理が完了するのが特徴です。

例えば、中古コンテナの購入者が青色申告者で、かつ取得価額が30万円未満の場合は、少額減価償却資産の特例が適用され、300万円を上限に費用の一括計上が可能です。

詳しくは税理士に問い合わせて頂きたいですが、ここでは、中古コンテナハウスの減価償却方法は新品の場合とは違うことを知っておいてください。

まとめ

コンテナハウスを検討するうえで、耐用年数はもちろんですが、減価償却の知識も備えているとメリットにつながることも。メンテナンスについては施工時に行える対策もあるため、事前にチェックしたうえで、施工会社に相談するとよいでしょう。

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