移動式コンテナハウス

コンテナハウスといえば、特定の場所に固定して設置する「建築用コンテナ」を思い浮かべるかもしれません。しかし、今回はコンテナのまま移動もできる「車両」扱いの「移動式コンテナハウス」について紹介します。移動式コンテナハウスとは一体何か?詳しく紹介していきますので、宜しければ読んでみてください。

移動式コンテナハウスとは?

移動式コンテナハウスとは、文字通り移動ができるコンテナハウスです。一般的な建築用コンテナハウスの場合は、コンテナをある場所に設置すると、永続的にその土地に定置して、建物を移動することはできません。設置した場所にずっと存在し続けます。しかし、移動式コンテナハウスはこれとは正反対の特性を持ち、住むことができるうえ、同時に「車両」として移動することもできるのです。

以下で、さらに移動式コンテナハウスの特徴を詳しく解説します。

 

「車両」として道路を走って移動ができる

移動式コンテナハウスの最大の特徴は、「建築物」ではなく「車両」であることです。コンテナを地面に設置して固定するのではなく、タイヤの付いたトレーラーのシャーシ(車台)の上に載せることで、法律的に「車両」扱いとなり、そのまま車で牽引して移動させることができます。

見た目は住まいでも、法的な取り扱いは〝住める車″なのです。これが移動式コンテナハウスのエッセンスになります。車両ですから道路を走ることができ、コンテナごと別の場所に引っ越したい場合でも移設が簡単です。

移動可能な家といえば、キャンピングカーを想像するかもしれません。しかし、移動式コンテナハウスとキャンピングカーは性質が違います。キャンピングカーはそれ自身で自走できますが、移動式コンテナハウスはトレーラーのシャーシの上にコンテナを載せている状態ですから、それ自身で走ることはできず、移動するにはレッカー車で牽引しなければなりません。

※参照元:法的基準について|日本トレーラーハウス協会

建築確認申請が不要になる

移動式コンテナハウスは「建築物」ではなく「車両」として扱われるため、建築確認申請をする必要がありません。建築確認申請とは、建築物に関するルールを定めた法律である建築基準法に適合するかどうかを審査するための手続きです。「建築物」とみなされた建物はすべて、建築確認申請をする必要があり、法律に適合しない場合は違法建築となります。

しかし、移動式コンテナハウスはそもそも「車両」扱いとなるため、建築基準法の適用外となり、建築確認申請も不要です。その代わり、車両であるため「車検」の取得が必要になる場合があります。

固定資産税もかからない

移動式コンテナハウスは、原則的に「車両」扱いとなりますので、固定資産の取得者が納めるべき「固定資産税」や「不動産取得税」はかかりません。いずれも家屋・土地など不動産に対してかかる税金ですが、移動式コンテナハウスは建築物ではなく〝車″とみなされるので、固定資産税や不動産取得税の適用対象にならないのです。

ただし、後述のとおり、車両扱いとするための条件を満たせず、かつ建築物とみなされた場合には、固定資産税や不動産取得税の対象になります。また、コンテナハウスの設置場所の自治体によって対応の仕方が異なる場合があるので、注意が必要です。

車検の取得・自動車税の納付が必要な場合も

移動式コンテナハウスは建築物ではないため、固定資産税はかかりませんが、その一方、公道を走れる車両であるため、「車検」の取得と「自動車税」の納付が必要になる場合があります。道路運送車両法では移動式コンテナハウス、すなわち「トレーラーハウス」を以下のようにサイズごとに2つに区分しており、サイズによって車検取得が必要になる場合と、そうでない場合があることに注意が必要です。

  • ①「全長12m・幅2.5m・高さ3.8m」以下のトレーラーハウス→車検取得必須
  • ②「全長12m・幅2.5m・高さ3.8m」を超えるトレーラーハウス→車検不要

①の「全長12m・幅2.5m・高さ3.8m」以下のトレーラーハウスは車検取得が必須となり、自動的に自動車税と自動車重量税の納付も必須となります。一方、②の「全長12m・幅2.5m・高さ3.8m」を超えるトレーラーハウスは車検不要のため、自動車税も重量税もかかりません。ただし、②の制限を超えるトレーナーの場合も、道路運送車両法に基づく基準緩和による臨時運行の認定を受ければ、例外的なケースとして公道を移動することができます。

以上のように、コンテナの「大きさ」によって車検への対応が異なることを覚えておいてください。

※参照元:法的基準について|日本トレーラーハウス協会

移動式コンテナハウスが「車両」とみなされるための条件

 

移動式コンテナハウスが「建築物」ではなく「車両」として認められるためには、以下の条件を満たす必要があります。

  • 道路運動車両法等で定められた自動車であること
  • 適法に公道を移動できること
  • 電気・ガスなどライフラインへの接続を工具を使用せず着脱できること
  • 車輪が付いたままで、随時かつ任意に移動できる状態を維持していること
  • 設置場所から公道に至る搬入出通路があること

重要なポイントは、設置した移動式コンテナハウスが、建築基準法上の「建築物」に該当せず、かつ道路運送車両法上のトレーラーハウスであるための条件を満たしていることです。この2つの条件をクリアしている移動式コンテナハウスは、車両として認定され公道を移動することができます。

一方、設置基準の細目は多岐にわたります。例えば、「随時かつ任意に移動できる状態を維持」するためには、コンテナハウスの車輪(タイヤ)は常に取り付けられている状態でなければなりません。また、設置場所から公道に至る通路・進行方向には「障害物」があってはなりません。他にも、エアコンの室外機をコンテナハウスに積載する必要があるなど、種々の設置検査基準をクリアする必要があります。

※参照元:[PDF]トレーラーハウスの建築基準法上の取扱いについて

移動式コンテナハウスの価格とは?

移動式コンテナハウスの価格は、コンテナのサイズによって、業者によって、新造/中古によって、こだわりによって幅があります。コンテナ本体の価格は、新造の場合はおおよそ50万~140万円、中古なら20万~80万円(20フィート・40フィート・ハイキューブ型含む)が目安です。

さらに本体価格に加えて、電気・ガス・トイレ・キッチンなどライフラインや住宅設備機器の設置費、土地代、輸送費、メンテナンス費などがかかります。総額として、200万円~、300万円~、500万円~などグレードによって様々な価格帯で提供されていますが、何にいくらかかるのか、費用の内訳を知ることが大切です。

移動式コンテナハウスの注意点

「家」として住むことができ、「車」として移動もできる移動式コンテナハウスは夢とロマンに満ち溢れていますが、いくつかの注意点もあります。例えば、タイヤ付きのため床下の風通しが良くなる反面、高床式住居となり、室内へフラットに出入りできないため、階段やデッキを施工しなければなりません。

また、車検を取得した移動式コンテナハウスは牽引によって公道を走ることができますが、牽引免許や大型自動車免許が必要です。大抵はプロの業者に委託することになりますが、その場合、業者に支払うレッカー移動の費用がかかります。

まとめ

移動式コンテナハウスは、車両として公道を走れるコンテナハウスです。建築物ではないため、固定資産税や建築確認申請も不要となり、メンテナンス費用も抑えられます。一方、車検の取得や自動車税(及び重量税)が必要な場合があること、車両として認められるための法的基準(設置基準)をクリアしなければならないなど、デメリットや注意点もあります。移動式コンテナハウスに興味を持った方は、メリット・デメリットの両方を比較しながら検討してみましょう。

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