コンテナハウスを検討するうえで、まず気になるのは費用ですよね。
コンテナを購入しただけでは、住居やオフィスとして使用できません。コンテナ本体以外に、土地代や運送費、基礎工事費、給排水の繋ぎ込み費用などが必要になります。
費用別にそれぞれ解説していきますので、ぜひ参考にしてみてください。
建築用コンテナハウスとして使われている主なサイズは、20フィートコンテナと40フィートコンテナの2種類。20フィートコンテナの面積は約12.4㎡で7畳ほど、40フィートコンテナは約24.8㎡で14畳ほどです。
費用目安は、80万円~150万円程度。使用用途やタイプによって費用が変わってくるため、目的に合ったコンテナを選びましょう。
また、建築用コンテナには「新品」(新設)と「中古」があり、それぞれに値段の相場が異なります。新品の場合は、20フィートで100万円~、40フィートで200万円~、10フィートで75万円~が大体の目安です。一方、中古の場合は20フィートで18万円~、40フィートで28万円~が相場の目安となります。
上記の相場はいずれもコンテナ単体の値段であり、設置代やその他の費用を含めた総額ではないことに気を付けてください。コンテナ単体の値段というのは、それぞれのサイズのコンテナ1つ分の価格になります。
新品、中古を含め、コンテナハウス販売会社によって様々な価格が提示されていますので、なるべく多くの業者の相場を比較してみましょう。
必要な土地の広さは、20フィートコンテナで約4.5坪、40フィートコンテナで9坪(※)が目安。立地や大きさ、方角などによって費用が変わるため、慎重に選びましょう。
土地代に関しては、購入費用ではありませんが、住まいのランニングコスト(維持費)として「固定資産税」もかかります。固定資産税は、土地や家屋など不動産の所有者に課される地方税です。毎年1月1日時点での当該固定資産の所有者に対して、評価額に1.4%の税率を掛けた金額が課されています。
例えば、土地の評価額が1,000万円の場合は、「1,000万円(評価額)×1.4%(税率)=14万円」と計算し、納付すべき固定資産税は14万円です。算出の基本となる評価額は「3年毎に評価替(見直し)」が行われているため、現在の額がどうなっているか確認しておく必要があります。
自分で購入した土地にコンテナハウスを建てる場合は、土地とコンテナハウスの両方に固定資産税がかかる事も知っておいてください。
コンテナハウスは、工場や加工所で製作したものを現地へ運びます。運送費は12フィートコンテナで30~90万円程度、20フィートコンテナで60~180万円程度、40フィートコンテナで80~300万円程度(※)かかります。費用はコンテナを運ぶ距離や台数、大きさによって変動するため、事前にチェックしておくことが大切です。
基礎工事は、コンテナハウスを安定して設置するための土台を据える工事です。建物と地面の間に鉄筋×コンクリートを施工し、建物にかかる荷重を地面に均一に伝えて分散し、建物を支えます。
コンテナハウスの基礎工事には、大きく分けて「ベタ基礎」「布基礎」「独立基礎」の3種類があり、それぞれ費用が異なります。工事全体費用は、ベタ基礎で平均150万円、布基礎で平均120万円が相場の目安です。
ただし、実際にかかる費用はコンテナのサイズ、施工場所、コンクリートの配合など様々な条件により変動しますので、事前に工事会社に確認しておかなければなりません。
給排水の繋ぎ込みとは、水道管の水をコンテナハウスへ繋ぐことや、水回りの排水を配水管へ繋ぐ工事全般のこと。設置場所や位置によって費用が大きく変動するため、業者へ事前確認することをおすすめします。
一般的な住宅の場合と同様、コンテナハウスの場合も給水方式を選ぶことができます。給水工事の種類には、「水道直結増圧式」「水道直結直圧式」「高置水槽式」「ポンプ直送式」の4つがあり、それぞれ仕組みや施工法が違うのはもちろん、費用相場が異なるのもポイントです。
水回りに関する設置費用の総額は、おおよそ200~300万円が目安になります。ただし、どの工事方法を選ぶかによって、またコンテナハウスを設置する土地の条件によって費用総額は大きく変わってきますので、事前のリサーチが必須です。
コンテナハウスは、外装や内装などを自由にカスタマイズできることが魅力。理想を追求したい方も多いのではないでしょうか。
こだわりを実現しようとすると、内装費や外装費だけで2,000万円近くかかることも。工事費を安く抑えるために、内装をDIYで自ら手掛けるという方法もあります。 デザインにこだわりたい方は、十分な予算が必要になるでしょう。
内装・外装といえば、装飾(ビジュアル)面に関心が向くかもしれませんが、住まいの快適性を得るための「断熱材」の工事も必要です。特に鋼鉄でできているコンテナハウスは、木造住宅と比べて断熱・保温性が劣るため、その問題を解決するための断熱工事はマストになります。
コンテナハウスの断熱工事には、「内断熱」「発砲ポリウレタンフォーム(吹付断熱)」「外壁断熱」の3つがあります。建物の内側に断熱層を形成するのが内断熱、構造体に断熱材を直接吹き付ける施工が発砲ポリウレタンフォーム、そして外壁断熱は、建物の外壁に断熱材を密着させる施工です。
DIYで施工すれば費用を抑えられますが、クオリティを高めるには専門の業者に依頼するのが無難でしょう。その場合はコストがかかりますので、工事の種類別に費用を確認しておく必要があります。
コンテナハウスは、基本的に最低限の構造になっているため、ドアや照明、エアコン、トイレなどの設置はオプションとなります。(※) 一般住宅と同じように、オプションを追加していくとどんどん費用が加算されていきます。「こんなはずではなかった」とならないよう、事前に確認しておきましょう。
オプションはドア、照明、エアコン、トイレの他にも、サッシ(上げ下げ窓・腰窓・横すべり窓・縦すべり窓)やシャッター、シャワーユニット、化粧室の設備ユニット等もあります。導入可能なオプションにどのようなものがあるか、どれを採用すべきかについて、全体のコンセプトから適切に判断することが大切です。理想と現実(予算)をバランスよく考慮することがポイントになります。
コンテナハウスの機能を維持するためには、定期的なメンテナンスが欠かせません。特に鉄製のコンテナを採用している場合は、防錆加工や雨漏り対策が必須。メンテナンス費用は、コンテナの広さと施工種類によって変動するため注意しましょう。
コンテナハウスで必要なメンテナンスは以下の3つです。
コンテナハウスは鋼鉄でつくられているため、錆びやすいのがデメリット。そのため建築時だけでなく、定期的にシーリング充填や塗装をするなどメンテナンスが必要です。定期的にケアすることで、長期的には維持費用を抑えることができます。
コンテナハウスの上部(屋根)はフラットな形状をしているため、天井に雨がたまりやすく、雨漏りも発生しやすいです。よって、穴の補修や周囲のサビケア、サビ止め、塗り直し等を行うメンテナンスが必要になり、そのための費用がかかります。
コンテナハウスも一般住宅と同じように、シロアリに狙われる可能性があります。全身鋼鉄であっても、外壁や内壁に入れた断熱材や、配管の隙間などがシロアリの侵入経路になるからです。そのためシロアリ予防と駆除するためのメンテナンス費用がかかります。
コンテナハウスの初期費用は、用途や規模にもよりますが、最低でも300万円~が目安となるでしょう。これは新設(新品)を前提とした場合の最低水準ですが、中古コンテナハウスの場合でも、100万円~は必至です。
「コンテナハウスは安い」とよく言われますが、それはコンテナ単体の値段であり、居住用であれ事業用であれ、建築物として建てるためには、基礎工事やライフライン工事といった上述の諸費用がかかるため、総額で見ると木造住宅より高くなることもあります。
特に、外装・内装に妥協なく〝こだわり″を詰め込み、オプションを豊富に使用する場合は、相当な金額になっていきますので、事前にしっかりとした資金計画と予算計画を立てておくことが大切です。
コンテナハウスの値段は中古が安いと思っている方も多いかもしれません。確かに、コンテナ単体の値段では、新設より中古の方が圧倒的に安いです。例えば、建築用コンテナの新品は20フィートで100万円~、40フィートで200万円~が目安ですが、中古の場合は、20フィートで18万円~、40フィートでも28万円~となっており、コンテナ本体だけなら中古の方が安く手に入ります。
しかし、中古コンテナを活用してコンテナハウスを建てる場合、新品より高くなる可能性があることに注意してください。なぜなら、中古コンテナ=貨物用コンテナであり、これを住宅や店舗として建てるためには、日本の建築基準法に適合するように改修工事をしなければならないからです。
中古コンテナは、そのまま設置しても建築確認申請(建築基準法に適合するための審査)に通りませんので、申請に通るための工事が必要で、その工事に多くの費用がかかります。ゆえに、中古=値段が安い、とはならない事を覚えておいてください。
コンテナハウスは、建てる場所の立地や設置目的によって、価格が大きく変動します。コンテナ本体は安価であっても、トータル費用が跳ね上がってしまうことも。事前に見積もりなどを行ったうえで、何にいくらかかるのか、十分に確認していくことが重要です。