コンテナハウスの確認申請

コンテナハウスは建築基準法の対象となるため、一部の例外を除いて建築申請確認が必要です。ここでは、建築申請確認の概要や、建築確認申請が必要なケースについて紹介します。「知らなかった」では後々自分が困ってしまうため、ぜひチェックしておきましょう。

建築基準法におけるコンテナハウス

国土交通省によると、コンテナハウスは「建築基準法第2条第1号に規定する建築物に該当」するとされています。これは、随時かつ任意に移動できないコンテナは土地に定着しているとみなされるため、用途にかかわらず建築物扱いになる、ということです。

ただし、自治体によって判断が異なる部分もあるため、すべてのコンテナハウスが該当するとも言い切れないのが現状です。また反対に、国土交通省よりも厳しい指摘をされることもあります。

いずれにしても、〝建築物″とみなされる場合には、コンテナかどうかに関係なく建築基準法の適用となり、この法律をクリアするための建築確認申請が必要です。

コンテナハウスだから守るべき法律があるわけではなく、一般的な建築物を建てるために必要な法律は全て遵守しなければなりません。建築確認申請をクリアし、確認済証の交付を受けることができれば、晴れてコンテナハウスを設置できます。

では、〝建築物かどうか?″の基準はどう定められているのでしょうか?下記項目をチェックしてみてください。

コンテナハウスは建築基準法の対象

コンテナハウスは用途にかかわらず建築物とみなされることがほとんどです。建物とみなされると、当然建築基準法の対象に入ることになります。

建築物の定義は以下の通り。
・土地に定着する工作物のうち、屋根及び壁を有するもの
・床面積が10㎡を超えるとき
上記2点に当てはまる場合は、基本的に建築申請が必要となります。

反対に、建築確認が不要なケースは以下の通りです。
・都市計画地域及び準都市計画市域に含まれない場所で、平屋かつ延べ面積が200㎡以下の場合

・防火地域および準防火地域外で、さらに以下の2つの条件に当てはまること
・床下面積が10㎡以下
・増築、改築、移転であること

ただし、この条件も自治体によって例外があるため、心配な場合は事前に確認をとっておきましょう。

移動式コンテナハウスは建築基準法対象外

コンテナハウスの中でも、「移動式コンテナハウス」は建築基準法の対象外となります。移動式コンテナハウスとは、住むだけでなく、車として移動もできるコンテナハウスのことです。

普通のコンテナハウスは、設置方法としてコンテナを〝土地に定着する″ため、建築物扱いとなりますが、移動式コンテナハウスは土地に定着せず、「随時かつ任意に移動できる状態」で設置するため、建築物ではなく車両扱いとなります。

法律に関しても、車両扱いの移動式コンテナハウスには「道路運送車両法」の適用となり、建築物ではないため、建築基準法は適用対象外です。特殊なケースですが、このように建築基準法の対象とならないコンテナハウスの事例があることも理解しましょう。

※参照元:法的基準について|日本トレーラーハウス協会

建築確認申請の手順と期間

建築確認は各自治体の規定に沿った形で行う必要があり、申請書も自治体ごとに異なります。例として一般的な流れを簡単に紹介します。

1.設計
2.建築確認申請
3.確認
4.工事施工〜完了
5.建築主事に届出
6.検査

建築確認申請は業者がサポートしてくれることがほとんどであるため、あまり身構える必要はありません。期間としては、確認済証を受理するまで1〜2ヶ月くらいと考えておきましょう。

全ての申請を通過し法令に適合することが確認されれば、「確認済証」が交付されます。これは運転免許証と同じように、建築物としてのコンテナハウスの設置が許可されたことを示す重要な証明書類です。管轄の自治体により交付されています。

ローンの申請時や、リフォーム、建物を売却する際にも提出を求められる場合がありますので、大事に保管しましょう。確認済証は再発行ができない書類ですから、くれぐれも紛失しないよう注意してください。

建築確認申請の必要書類

 

建築確認申請では、下記のような書類が必要になります。

  • 付近見取図
  • 配置図
  • 求積図
  • 平面図
  • 委任状

ほとんど図面に関するものですが、申請手続きを建築士など代理人に依頼する場合は、委任状も必要です。

建築確認申請の必要書類は委任状を除き、どれも本人だけで準備するのは難しいです。作成の仕方はインターネットで調べることもできますが、ミスなく漏れなく図面作成を実施するのはビギナーにはハードルが高いでしょう。

そのため、申請手続きを確実にスムーズに済ませたい場合は、プロの代行業者に依頼することをおすすめします。なお書類に不備があった場合は、申請期間が延びてしまうこともあるので気を付けてください。

建築確認の申請費用は?

建築確認申請にかかる費用は、自分でする場合と、代理人に任せる場合とで大きく異なります。

自分で申請する場合の手数料は、延床面積30㎡~100㎡の建物で1万円~が目安です。一方、設計事務所などプロの代行業者に依頼する場合は、図面の作成が必要になるため、10万円~が必要になります。

依頼する代行業者によっては、さらに金額が増していく可能性もあるため、総額でいくらかかるのか、事前によく確認しておかなければなりません。申請先は自治体又は指定確認検査機関(民間検査機関)でも行えますが、手数料に関しては後者の方が高いようです。

また手数料は自治体によって設定が異なりますので、個別の確認が必要です。詳しくは各自治体のホームページをチェックしてください。

申請が通るには構造部材にJIS鋼材を使用すること

コンテナハウスの建築確認申請をクリアするためには、建物の主要な構造部材に「JIS鋼材」を使うことが必要条件です。JIS鋼材は、日本産業規格(旧日本工業規格)に規格された鋼材のことで、コンテナハウスなど鉄骨造の建築物の構造部材は、JIS鋼材を使用することが求められています。

見た目がコンテナハウスでも、主要構造材がJIS鋼材でなければ建築基準法には適合せず、建築確認申請が通らないため、建築物として建てることができません。それどころかJIS鋼材を使わずに設置すれば、違法建築となるため注意が必要です。

住居や店舗など建築物としてのコンテナハウスを購入する際は、あらかじめ使用するコンテナがJIS鋼材かどうか確認しておきましょう。

中古コンテナは建築確認申請を通しにくい

中古コンテナ(ISO海上輸送コンテナ)を使用して、コンテナハウスを建てたいと思っている方も多いかもしれません。しかし残念ながら、中古コンテナは建築確認申請に通らない可能性が高いです。

建築物としてのコンテナハウスで建築確認申請を通すには、既述の通り主要構造部材への「JIS鋼材」の使用が必須ですが、中古コンテナにはJIS鋼材が使われていません。そのため、建築基準法に適合しない違法建築とみなされてしまう可能性が高くなります。

確認申請をクリアするための改修工事を行うことは可能ですが、その場合は多額の費用がかかることになり、コンテナハウスの持ち味の一つである「低コスト」のメリットが得られなくなるでしょう。もちろん、確認申請を通すための改修は技術的にもハードルが高く、時間と手間がかかるのは言うまでもありません。

このように中古コンテナは確認申請を通しにくいため、コンテナハウスを建てる場合は、構造部材にJIS鋼材を用いた建築用コンテナを採用するのがベストです。

都市計画区域外なら確認申請が不要になる?

例外的なケースですが、都市計画区域外に設置するコンテナハウスは、確認申請が不要になる場合があります。それは、都市計画地域外に「平屋で延べ床面積200㎡以下」のコンテナハウスを設置する場合です。

都市計画区域内に関しては、都市計画法(※1)に基づく規制により、建物の種別を問わず例外なく確認申請が必要になります。しかし、都市計画区域外においては、建築基準法(※2)で、前述の条件(平屋で延べ床面積200㎡以下)に該当する建物は確認申請が不要になることが示唆されており、当該地域での確認申請は不要です。

ただし、確認申請が不要だからといって、建築基準法を守らなくて良いということではありません。むしろ都市計画区域であるか否かに関わらず、建築基準法の遵守は必須条件であり、施工の際の「工事届」が必要なのはもちろん、コンテナハウスの主要構造部材にはJIS鋼材を使用しなければなりません。

特殊事例になりますので、関連する法令や規制をよく調べておきましょう。

※1参照元:e-GOV 法令検索|都市計画法

※2参照元:e-GOV 法令検索|建築基準法

建築確認申請をしないとどうなる?

繰り返しになりますが、コンテナハウスは建築基準法が適用される、れっきとした建築物です。確認申請を怠った場合は建築基準法への違反となり、同法の罰則規定が適用されペナルティが課されます。

例えば、提出が必要にも関わらず確認申請をしなかった場合は、「1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金」(同法第99条1号)に処される可能性があります。

また、確認申請未提出により行政から工事を停止するよう命令され、これを無視して工事を続けた場合は、「3年以下の懲役又は3000万円以下の罰金」(同法第98条第1項)に処される可能性があります。

科料(罰金)の問題だけでなく、社会的信用を失うことにもなりますので、一部の例外を除き、建築確認申請は法に則って確実に行いましょう。

※参照元:e-GOV 法令検索|建築基準法

まとめ

コンテナハウスは一部の例外を除き、建築確認申請が必要です。一般的に申請が不要とされる場合でも、自治体によって申請が必要になるケースがあるため注意しましょう。

建築確認申請を怠ると場合によっては処罰の対象となることもあるため、建築を依頼する会社にあらかじめ確認しておくことが大切です。

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